コロッケ騒動

栄養があって手早く出来るメニューはよく作るのだが、手間のかかるものはあまり作らない。そんな私が珍しく“コロッケ”を作ったのだ。次男からリクエストがあったのと、9月、10月は試験や仕事で忙しくしていて、さびしい思いをさせたかなと自責の念もあったからだ。食べる前になって、長男がお腹の不調を訴えた。揚げたてのコロッケを目の前にして、私は“揚げ物はお腹に悪いから、食べたらダメ”と言い渡した。長男は納得がいかず、半べそをかいた。“取っといてあげるから、調子がよくなってから食べよう。”と言っても彼の耳には入らない。翌日には長男のお腹はよくなって、遊びに行ったおじいちゃん宅でも豪華な昼食を美味しそうに平らげた。その晩は、念願の温めなおしたコロッケも食べることができた。しかし、彼は揚げたてが食べられなかったことが、悔しくて悔しくてたまらない。くどくど恨みごとを言い続ける。挙げ句の果てに、“今度、いつコロッケを作ってくれるの?”と言い出した。“来年やな〜。”と答えると“来年のいつ?”そして、2月には必ず作ると約束させられた。何という食べ物の恨みと思いつつ、おかあさんのコロッケを食べたいと思ってくれる息子がとてもかわいく思えたのだった。