島根の料理

近くの公民館で、隔月に“世界の料理”という講座がある。
その講座はただ料理を作って試食するのではなく、
料理の話に入る前にその国の地理的、歴史的背景の講義がある。
地図を見たり、メモを取ったりと社会の授業を受けている感じだ。
この講義のおかげで「料理は文化の一部だ」ということがよくわかる。
人気がある講座で毎回応募者が多く、参加者を決めるために抽選となる。


いつもは世界各国の料理なのだが、今月は珍しく日本の料理、島根の料理だった。
メニューは鯛飯、柿の辛子味噌和え、さつまいものぼたもち、それに出雲の地酒。
(毎回当地のお酒が出されるのがうれしい)
鯛飯は昆布と鰹節でしっかり出汁をたっぷりかけていただいたが、とても美味しかった。
鯛を蒸して身と骨を分けたのが、手間だったが・・・。
ゆで卵の白身と黄身を分けて細かく切ったものが鯛に添えられているのだが、
これはオランダ料理の影響を受けたものらしい。(当時の日本は鎖国していた)
茶道に通じた藩主、不昧公(ふまいこう)が考案したものだとか。
柿の辛子味噌和えも生の柿を使った珍しい一品だった。


松江は不昧公のおかげか和菓子の美味しいところでもある。
小学生の頃、夏休みには父の故郷の松江によく帰省した。
着くと叔父がいつも抹茶を点ててくれ、肉桂味のお菓子をだしてくれたが、
小学生だった私には、抹茶と肉桂の美味しさはまだわからなかった。
でも、その味と思い出は私の中にずっと残っていて、
「食」が人の身体を作っているのだなとしみじみ思うのである。